東日本大震災の帰宅難民パニック~あれから12年
震災の当日
東日本大震災の発生時、私はホテルのフロントで勤務中でした。具体的なホテルの場所は伏せますが首都圏にあります。
発生時、突然の大きな揺れに驚きつつ静観するしかありませんでした。そろそろ治まるかなと考えていましたがいっこうにその気配が無く、非常に長く揺れ続けた地震だったと記憶しています。
3.11。3月11日の金曜日、14時46分。2011年の出来事でしたから12年前ですね。
平日のチェックイン前の発生でしたから、まだお客様はほとんどいませんでした。
その場のフロントは棚から少し物が落ちた程度でほとんど被害はありません。揺れが治まった後、ホテル内の主要な場所の点検に走りました。ビル上階の方が揺れが大きくなりますので最上階の客室を点検して行きましたが、普段から倒れるような備品も置いておらず何も被害はありません。廊下に置いてあった観葉植物の鉢が転がってしまった程度で済みました。停電にもならず予約システムを使用しているパソコンも大丈夫なようです。インターネットも問題なく接続出来ましたが、電話は通じないようでした。自分の携帯電話も試してみましたが、通話規制が行われているようで通じませんでした。
皆さんご存知の通り、その日首都圏の交通機関は完全にマヒしてしまいました。電車は全線ストップ、道路も渋滞や通行規制でほぼ麻痺状態で多くの帰宅困難者が発生したわけです。会社などの出先から自宅に帰れなくなった人達が宿泊場所を求めてホテルは大混乱となりました。
電話が復旧し始めた夕方から夜中まで、ホテルの電話は鳴りっぱなしです。夕方の時点で既に満室になっていた為、お断りするしかないのですが、受話器を置くとすぐまた鳴ります。回線を切って通話出来ない状態にしようかとも思いましたが、状況が状況なだけにどんな内容の電話があるかも分からず、一応は対応せざるを得ませんでした。
私は待合スペースのテレビに流れる津波の映像を遠目に見ながらやっと、とんでもない事態になっていることに気づきました。
その日は私も勤務を終えても帰宅出来る状態ではなく、そもそも帰る手段がありませんでした。電話が復旧して家族の無事は確認出来ていましたので、そのままホテルに泊まり込みました。
その後のホテルへの影響
宿泊者が殺到した震災当日でしたが、その後のホテルは苦境の時期に入ります。まず震災前に既に入っていた予約はほとんどがキャンセルになりました。震災後の新たな予約というのも極端に減りました。3月・4月の落ち込みが最も酷く、月の稼働率は共に40パーセント台にまで落ち込みました。稼働率40%は経営としては完全に赤信号と言われています。(新型コロナの影響は軽々これを下回るホテルもありました)
しかし地震の直接的な影響で営業不能になってしまった宿泊施設もあったわけですから、それを考えればまだマシな方なのかもしれません。
宿泊者が減る理由はいくつもありました。
東北新幹線、東北自動車道の通行止め。
自粛ムードによる旅行の減少。
原発の放射線の心配から特に西日本、海外の客が大きく減少したこと。
計画停電。
実は放射線の影響による外国人客のキャンセル分においては東京電力がホテルに補償を行いました。しかしこれは本当に微々たる金額にすぎません。なぜなら東京電力が補償対象とした期間よりも、実際はもっと長期にわたって外国人客の影響は続くことになったからです。
また提出する申請書は非常に複雑で、証明する資料も全て添付しなければならず、ホテル側も余分な労力を相当強いられたはずです。
現在、新型コロナウイルスの移動自粛の影響から苦境に立たされていたホテル・旅館もやっと切り抜けられそうだという状況かもしれません。
宿泊施設にとっては震災といい、新型コロナといい、試練が続きます。
外国人訪日客が好調だった時期に大儲けしてきたんだろ?なんて勘違いしている方もいらっしゃるようですが、そのくらいでやっとなんとかですよね。
早く日常に戻ってほしいものです。
いつ大きな地震が来てもおかしくない日本ですが、過去の震災のような大きな被害は起こらないで欲しいと願うばかりです。
最後に、ホテルの宿泊中に地震に遭遇したらですが、部屋や廊下などその場で物が落ちたり倒れてこない所で、揺れが治まるまではじっとしておくのが良いでしょう。慌てて走ったり、外へ飛び出すのは危険です。その後は従業員の指示に従って下さい。その後に火災が発生する場合もありますから、どんな時でも宿泊時には必ず避難経路を確認しておいて下さい。
東日本大震災当日の一番困ったことは、エレベーターが止まってしまったことです。エレベーターは大きな揺れを感知すると最寄りの階で緊急停止する安全装置が働きます。その後はエレベーター業者が安全を確認するまでは動かすことが出来ません。地震でこの機能が働いて停止したのは初めての経験でした。
最上階は8階です。お客様には非常階段で行き来していただかなくてはなりませんでしたが、営業は続けることになりました。なぜならその日は難民と化した宿泊希望者が殺到することとなったからです。とにかく泊まる所がなく、階段で部屋へ行けて泊まれるならぜんぜん構わないからという宿泊希望者がほとんどでした。
ポンプ式で水道水を給水しているマンションなんかは、停電すると水も出なくなる心配があります。給水車で水を確保できても、重い水をエレベーターの止まった高層階へ運ぶのは相当にしんどい作業でしょう。やはり災害備蓄として水は考えておくべきかもしれません。
入れ替えを考えると賞味期限は長いほうがよいですが、これはなんと15年。なるべく安いものとするとおすすめはこれですかね。
災害時、緊急電話、情報収集でスマホや携帯を予想外に使う可能性があると思いますが、自宅にモバイルバッテリーがあっても、どこで緊急事態になるかはわかりません。ライト付きコンパクトミラーとモバイルバッテリーが一緒になったこれなんかは女性にはよいのでは?と思います。バッグの底に放り込んでおけばいざという時に役立ちます。
拡大鏡あり、LEDライト付で鏡も見易いですし緊急時は懐中電灯代わりになります。バッテリーも5000mAhでまあまあです。
エレベーターでちょっと面白い話があります。よかったらこちらのページもどうぞ。
幽霊の出る部屋・深夜のエレベーター
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東日本大震災の発生時、私はホテルのフロントで勤務中でした。具体的なホテルの場所は伏せますが首都圏にあります。
発生時、突然の大きな揺れに驚きつつ静観するしかありませんでした。そろそろ治まるかなと考えていましたがいっこうにその気配が無く、非常に長く揺れ続けた地震だったと記憶しています。
3.11。3月11日の金曜日、14時46分。2011年の出来事でしたから12年前ですね。
平日のチェックイン前の発生でしたから、まだお客様はほとんどいませんでした。
その場のフロントは棚から少し物が落ちた程度でほとんど被害はありません。揺れが治まった後、ホテル内の主要な場所の点検に走りました。ビル上階の方が揺れが大きくなりますので最上階の客室を点検して行きましたが、普段から倒れるような備品も置いておらず何も被害はありません。廊下に置いてあった観葉植物の鉢が転がってしまった程度で済みました。停電にもならず予約システムを使用しているパソコンも大丈夫なようです。インターネットも問題なく接続出来ましたが、電話は通じないようでした。自分の携帯電話も試してみましたが、通話規制が行われているようで通じませんでした。
皆さんご存知の通り、その日首都圏の交通機関は完全にマヒしてしまいました。電車は全線ストップ、道路も渋滞や通行規制でほぼ麻痺状態で多くの帰宅困難者が発生したわけです。会社などの出先から自宅に帰れなくなった人達が宿泊場所を求めてホテルは大混乱となりました。
電話が復旧し始めた夕方から夜中まで、ホテルの電話は鳴りっぱなしです。夕方の時点で既に満室になっていた為、お断りするしかないのですが、受話器を置くとすぐまた鳴ります。回線を切って通話出来ない状態にしようかとも思いましたが、状況が状況なだけにどんな内容の電話があるかも分からず、一応は対応せざるを得ませんでした。
私は待合スペースのテレビに流れる津波の映像を遠目に見ながらやっと、とんでもない事態になっていることに気づきました。
その日は私も勤務を終えても帰宅出来る状態ではなく、そもそも帰る手段がありませんでした。電話が復旧して家族の無事は確認出来ていましたので、そのままホテルに泊まり込みました。
その後のホテルへの影響
宿泊者が殺到した震災当日でしたが、その後のホテルは苦境の時期に入ります。まず震災前に既に入っていた予約はほとんどがキャンセルになりました。震災後の新たな予約というのも極端に減りました。3月・4月の落ち込みが最も酷く、月の稼働率は共に40パーセント台にまで落ち込みました。稼働率40%は経営としては完全に赤信号と言われています。(新型コロナの影響は軽々これを下回るホテルもありました)
しかし地震の直接的な影響で営業不能になってしまった宿泊施設もあったわけですから、それを考えればまだマシな方なのかもしれません。
宿泊者が減る理由はいくつもありました。
東北新幹線、東北自動車道の通行止め。
自粛ムードによる旅行の減少。
原発の放射線の心配から特に西日本、海外の客が大きく減少したこと。
計画停電。
実は放射線の影響による外国人客のキャンセル分においては東京電力がホテルに補償を行いました。しかしこれは本当に微々たる金額にすぎません。なぜなら東京電力が補償対象とした期間よりも、実際はもっと長期にわたって外国人客の影響は続くことになったからです。
また提出する申請書は非常に複雑で、証明する資料も全て添付しなければならず、ホテル側も余分な労力を相当強いられたはずです。
現在、新型コロナウイルスの移動自粛の影響から苦境に立たされていたホテル・旅館もやっと切り抜けられそうだという状況かもしれません。
宿泊施設にとっては震災といい、新型コロナといい、試練が続きます。
外国人訪日客が好調だった時期に大儲けしてきたんだろ?なんて勘違いしている方もいらっしゃるようですが、そのくらいでやっとなんとかですよね。
早く日常に戻ってほしいものです。
いつ大きな地震が来てもおかしくない日本ですが、過去の震災のような大きな被害は起こらないで欲しいと願うばかりです。
最後に、ホテルの宿泊中に地震に遭遇したらですが、部屋や廊下などその場で物が落ちたり倒れてこない所で、揺れが治まるまではじっとしておくのが良いでしょう。慌てて走ったり、外へ飛び出すのは危険です。その後は従業員の指示に従って下さい。その後に火災が発生する場合もありますから、どんな時でも宿泊時には必ず避難経路を確認しておいて下さい。
東日本大震災当日の一番困ったことは、エレベーターが止まってしまったことです。エレベーターは大きな揺れを感知すると最寄りの階で緊急停止する安全装置が働きます。その後はエレベーター業者が安全を確認するまでは動かすことが出来ません。地震でこの機能が働いて停止したのは初めての経験でした。
最上階は8階です。お客様には非常階段で行き来していただかなくてはなりませんでしたが、営業は続けることになりました。なぜならその日は難民と化した宿泊希望者が殺到することとなったからです。とにかく泊まる所がなく、階段で部屋へ行けて泊まれるならぜんぜん構わないからという宿泊希望者がほとんどでした。
ポンプ式で水道水を給水しているマンションなんかは、停電すると水も出なくなる心配があります。給水車で水を確保できても、重い水をエレベーターの止まった高層階へ運ぶのは相当にしんどい作業でしょう。やはり災害備蓄として水は考えておくべきかもしれません。
入れ替えを考えると賞味期限は長いほうがよいですが、これはなんと15年。なるべく安いものとするとおすすめはこれですかね。
災害時、緊急電話、情報収集でスマホや携帯を予想外に使う可能性があると思いますが、自宅にモバイルバッテリーがあっても、どこで緊急事態になるかはわかりません。ライト付きコンパクトミラーとモバイルバッテリーが一緒になったこれなんかは女性にはよいのでは?と思います。バッグの底に放り込んでおけばいざという時に役立ちます。
拡大鏡あり、LEDライト付で鏡も見易いですし緊急時は懐中電灯代わりになります。バッテリーも5000mAhでまあまあです。
エレベーターでちょっと面白い話があります。よかったらこちらのページもどうぞ。
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