南京虫(トコジラミ)の恐怖

おそらく今まで一度も見たことがないという人も多いと思います。この南京虫(トコジラミ)は世界中の温帯地域に生息している昆虫なのですが、日本ではそれほど被害の話を多く聞く害虫ではありませんでした。
しかし、近年の国際化によって日本から海外へ、海外から日本へと行き来する人も増えたため、最近ではホテル・旅館などの宿泊施設を中心に急速に被害が多くなってきました。
南京虫
大きさはというと、成虫は体長5,6ミリです。これよりもかなり小さい、しかも複数匹確認しているとなると、幼虫であり室内で繁殖している可能性があります。
害虫たる所以は吸血することです。人の血を吸います。夜行性で蚊と同じく人間の吐く炭酸ガス(二酸化炭素)を察知して近づいてきます。そして刺された所は猛烈な痒みを伴います。分類はカメムシ目だそうで、そう言われるとカメムシに容姿は似ている感じです。飢餓にも殺虫剤にも強く生命力はかなりのものです。

この虫の厄介で大変なところは、平べったい姿を生かして本当に僅かな隙間に潜むことです。また同じ場所を巣(コロニー)にするとは限らず、その都度動き回ります。
さらに蚊と違って部屋の環境が適していれば部屋の中でどんどん繁殖していきます。
唯一の救いは昆虫の翅(はね)が無いこと。そう、飛べないんです。蟻くらいの速度で歩行します。
もしこいつに羽根があったとしたら、人間にとってもっと脅威の害虫になっていることでしょう。
よくカツオブシ虫と混同されますが、飛んでいるのはトコジラミではありません。

どうして発生するのか?どこからやってくるのか?
まず海外からの宿泊者の荷物や衣類に付いてホテル・旅館などの宿泊施設に運ばれることになります。外国人の方だけではありません。日本人でも海外旅行や出張で戻った時に宿泊をすれば同じことになります。そしてその繁殖した部屋に泊まった別の人がまた運ぶことで広がっていきます。

これだけ国際化した世の中になるともう防ぎようがありません。世界中の人々が集まるニューヨークでも被害が深刻だというニュースを見たことがあります。どうやらセアカゴケグモやアルゼンチンアリなどと同様に日本で繁殖する気満々のようです。人が集中する東京も例外ではいられないでしょう。

「本当に被害なんてあるの?ものすごく少ない特殊例じゃないの?聞いたことないし…。」なんて思う人もいるかもしれません。実はクレームがクチコミで広まりイメージダウンによって客数が減ることを宿泊業は恐れますから、宿側から積極的に公表されることは全くと言っていい程ありません。このブログのタイトルどおり、つまりは裏話なのです。
しかし、けして都市伝説ではありません。この恐ろしい吸血虫は実際に存在するのです。

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ところでこの虫はその平べったい姿を生かしてわずかな隙間に隠れ潜みますから、スタッフが作業中に偶然に見つけるということがなかなか出来ません。不本意ながらお客様の被害の訴えによって初めて分かることになります。
ベッド・布団が、シーツがかゆいというのは洗濯時の洗剤・薬品に敏感な場合や気のせいということもありますが、刺し傷や咬まれ痕があって赤く腫れているという場合は、蚊かダニかトコジラミでしょう。
もっともお客様はトコジラミであってもダニによるものと思っている方がほとんどなわけですが、たとえダニであったとしてもとても申し訳ないことです。

そして、いるかもしれない部屋は徹底的にチェックをすることになるわけですが、前述したように隙間の奥底に隠れているのをスタッフが見付けることは困難です。ではどうするかというと実は糞を捜します。南京虫は活動中に見える場所に糞(血糞)をすることがあります。細い黒マジックで先をチョンチョンと打ったような跡なのですが、だからと言って、慎重に見ていかないと見落としかねないとても小さな跡です。
何回か経験があってフンを見たことがあると容易に分かるのですが、初めてだと他の虫のものか、汚れなのかの判断は難しいかもしれません。
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糞は見つけられないのだけれど、絶対にいるっぽいのだが…という場合比較的安価でこういう捕獲器もあります。これは、この装置をトラップとして、根絶することを目的とするのではなく、あくまでも棲息を確認するためのものだということに注意して下さい。
トコジラミ ベッドバグスライダー


もし糞が見つかって、直接視認して、居ることが分かったら、専門の駆除業者に駆除の依頼をします。直接噴きかければ、その辺のスーパーなどで売っている家庭用の殺虫剤でも死ぬでしょうが、隙間の奥に潜んでいますからとても薬剤が効きにくいのです。また部屋を煙で燻す噴霧式の殺虫剤を使用しても退治は難しいでしょう。また卵の状態だと薬が浸透しづらいとも言われます。
過去に、念入りに殺虫したにもかかわらず再発生した部屋がありました。偶然に短期間で持ち込まれたとも考えられなくはないですが、これが薬剤の耐性を持ったスーパー南京虫の増加によるものだとしたら恐ろしいことです。
最近では殺虫業者も薬剤と同時に、スチーム器具による高温によって退治する駆除方法を試みているところも多いようです。

もし自分でがんばってみるなら。
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一応、トコジラミ効果を謳った市販の殺虫剤もあります。ドラッグストア、ホームセンター、スーパーなどでも置いてあることが多いです。アース製薬の「トコジラミ ゴキブリ アース」とか、家庭用のゴキブリ殺虫剤サイズでもあります。


このように駆除には手間もかかるわけですが、問題は一部屋数万円の駆除費用の方です。この料金が頻繁にかかればおそらくホテルは倒産してしまいます。きっと宿泊施設の経営者はこのたった数ミリの小さい虫に頭を悩まされていることでしょう。
ホテル側も侵入を防ぐ方法がないし、ましてお客様が悪いわけでもありません。対策の難しいとても困った問題だと思います。運悪く部屋に持ち込まれないよう祈るばかりです。


ホテルの部屋は構造がシンプルですし、家具もそう多くはありません。しかしこれが一般家庭に入り込んでしまうと、駆除は困難を極めることでしょう。業者に依頼した場合の費用・金額もかなりの高額になるに違いありません。
当事者になってしまった場合、これほど恐ろしい害虫はいないのです。
インバウンド客・訪日外国人が増えているので、ゲストハウス、ホステル、民泊等も心配です。渡航国数・宿泊数の多い、世界中を回る旅慣れたバックパッカーなんかはこれらの施設を選ぶ傾向が高いのです。ネットカフェも油断できません。
特に民泊の経営者がトコジラミの知識や対応策を知らないと、放置されて大量発生を招きかねません。


最後に、私も元ホテルマンでしたので、宿泊施設側に立ってお客様側にお伝えしておきたいのですが、南京虫はけして衛生状態が悪い為に発生するわけではありません。またダニの様に換気が悪く湿度が高いことが原因で極端に繁殖するというわけでもありません。
つまり安宿だからダメ、高級ホテルなら大丈夫という問題ではないということです。どんなに清潔であっても、運悪く部屋に運び込まれてしまうかどうかなのだということを理解していただきたいと思います。

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