不潔・不衛生?客室清掃の真実

よくホテルや旅館に宿泊した際、客室用コップにビニールが掛かっていて、消毒済という紙のラベルが貼ってあるのを見たことがありませんか?
「ほう、ご丁寧に消毒までしてあるのか。感心感心。」
と思う方もいるでしょう。一方で、
「消毒済みとか書いてあるけど本当なの?実はしてなかったりして?」
なんて疑いを持ってしまった人もいると思います。
この殺菌消毒を行う場合は、普通に清潔に洗剤洗いして、紫外線殺菌装置で滅菌した後、ビニールカバーと帯を付けます。公衆浴場やサウナなんかでヘアブラシが紫色のライトで照らされて入っている箱型の装置を見たことがありませんか?ああいうものです。きちんとした所はそういう方法でやっています。
それで、消毒済みとありながら実はやってない所もあるんじゃないか?と言えば、それはあるでしょうね。憶測で勝手なこと言うな!それを証明するソースは?とかいう話になりがちですが、疑いを持った人はなぜそう思いましたか?
おそらく、その人の人生経験の中から、それがやられていないかもしれないことは容易に想像できるとピンときているからでしょう?経営者側が指示していても、末端の個人レベルではやったフリしてさぼる者、手抜きする者、いい加減な者が、どこかに必ずいることを知っているからでしょう?
髪の毛一本も許さない。そこまで徹底できれば完璧ですが、決められた清掃内容に対して不完全(不備)に終わっている。そう、それは現実には絶対あるはずなんです。ただその割合については私も・誰も分かりません。



中国五つ星ホテル清掃員の驚くべき実態
2018年1月、地元テレビ局がホテル部屋清掃の潜入取材をしたニュースが日本でも話題になりました。黒龍江省の5つ星の外資系ホテル3社で、トイレ清掃用のブラシで、バスタブを掃除していたことが分かりました。また、鄭州市でも、「便器を拭いた雑巾でグラスを拭く」など1枚の雑巾で、トイレから床掃除、コップなどの食器洗いなどを行っていた事実が暴露されています。

もちろん私もこのニュース映像を見ましたが正直驚きました。汚いですよね。

実は中国では清潔さは信用しておらず、宿泊客の62%は自分でタオルを持参するそうです。
中国の青年報社会調査センターが実際に行った調査では、ホテルの衛生状態が基準に満たないと感じた人は回答者の84%にも達しています。

このニュースは氷山の一角どころの話じゃありません。五つ星ホテルでこれなのですから、それ以外のホテルでも常態的に行われていることが想像できます。

「中国の話でしょ?日本ではこんなことないよね?」
うーん…。確かに国によって文化が違うし、衛生観念にも大きな違いはあります。
しかし中国の話だから関係ないと言えるでしょうか?清潔志向の日本人にはあり得ない事と言えるでしょうか?やはり疑問は残りますよね?
経営者側がそれを指示するわけはありませんから、「バレなきゃ大丈夫」と意に反して手を抜かれることがあるかもしれません。
そうすると、今後はホテル側の教育とチェック体制が重要になってくるでしょう。とは言え、監視を付けるとか大腸菌検査をするとかは現実的には変な話です。清掃員の間違った行いがどれだけ損害を与えるかの教育からでしょうかね。絶対にしてはいけないこと、ホテル側に損害を与えた場合は損害賠償も辞さない等、念入りに説明しておく必要があります。

「この部屋の清掃は○○が担当しました」
ホテルによってはそんなメモが残されている所もあります。名前を出すことで責任感を持たせると同時に、宿泊者に安心を与えようとしているのでしょう。
こうした取り組みもホテルの工夫と努力の表れだと思います。


ほとんどの清掃員は真面目であると信じたい
私は元ホテル従業員だったわけですが、清掃員というのは別にいました。清掃員は、ホテルの自社雇用と、清掃業者への委託とがあると思いますが、私のホテルでは自社雇用していました。といってもパート・バイトさんのことです。おそらく委託しているというところが普通なのではないかと思います。
基本、フロント業務と清掃業務は分かれていますが、私のいたホテルは清掃部屋数が極端に多い日は、フロントも駆り出されることがしょっちゅうでした。
ホテル清掃の特性として、日によって宿泊者数が違うので、掃除をする部屋数の多い日と少ない日の差が出来てしまいます。だからといって部屋数マックスの日に合わせて人数を雇用しておくことは出来ません。極端に少ない日があまりにも早く終わってしまって、時給である収入が減ってしまうからです。その為、おおよそ平均かやや少ない数に合わせてあるので、満室翌朝などは逆に手伝いがないと間に合わないのです。

だから私も、そうとう清掃をしましたし、もちろんやり方も知っています。そして清掃員の大変さもです。正直、本音を言うと辛いですよ。清掃はホテル営業の要です。もっとも重要と言っていいです。
おそらく大部分の人は真面目に一生懸命働いていると思います。ブログ・ネット上で散見されるとんでもない清掃実態や体験談は、本当に稀なごく一部だと信じたいです。そもそもネット上の記事は、注目を引く為に書かれるものが多いわけですから、特殊例が話題に上ることが多いのです。そして、インパクトのある悪い印象が強く読者に残ります。
私のいたホテルの清掃員さんは、非常に真面目で責任感も強く、信用できる人達でした。誰でもできる仕事?とんでもない。マジできつい、大変な仕事ですよ。頭が下がります。
慣れてきてコツみたいなのが分かるとスピードも速くなりますし、無駄な動きが少なくなります。まるで何かの競技をしているかのごとく楽しくなってきます。ベテランになるともう職人。このへんがやりがいになっている人もいます。
正社員・パート・アルバイトのいずれでも求人はたえず多い職種ではないでしょうか?やはり入れ替わりが多いので人手不足なのかもしれません。
最近は委託が多いし、昔のように住み込み可能な旅館は少なくなってきているようです。

ホテルによって掃除の仕方にはいろいろな違いがあると思いますが、チェックリストを使って要所ごとの客観的な確認をする必要があると思います。
部屋ごと清掃忘れなんてものが発生したりすることもありますが、これは指示書の漏れがほとんどです。本日の清掃部屋がいくつでどこか?これを作るフロント側の係も大変なのです。


よく暴露されている内容
① シーツや枕カバーがきれいならば交換しない。
② 使用済みの客室用タオルで拭き掃除をしている。
③ ポット(ケトル)やコップを洗わない。またはすすぐだけ。浴槽を洗わない。
④ ゴム手袋をせずにトイレ清掃をし、そのまま手を洗わず他の部分も行っている。

①のシーツ等を交換しないは宿泊者でも気付いちゃいますね。ちょっとでも使えばシワが出来ますし、パリッとした糊の感じが消えるので、やるにしても危険な行為です。

②の使用済みタオルではやろうと思えばやり易いでしょう。ただ、拭き掃除用の雑巾を使えばいいことなので、わざわざタオルでやることないよなーと私は思うのですが。
タオルは業者が回収して、クリーニングし、また配送されます。シーツなども同様です。工場ではかなり強い薬品を使って洗浄・漂白・殺菌をしているようなので、もしそうした行為があっても衛生面においては問題ないと思います。(もしかすると、とても小規模な宿は自分で洗濯しているところもあるかもしれません)

③のよく洗わないは一番あるかもしれないとは思います。そんなに汚れないですから。洗面台のコップでジュースを注いで飲む人とかはあまりいません。歯磨きやうがいに使うくらいですから、口紅が付いてるとか以外は口元をキュッキュと手で洗ってお終い。とかはありそうですね。私のところではきちんと洗剤でスポンジ洗いして、専用の布巾で拭いてました。消毒済ラベルは付けません。
きれいなら浴槽(バスタブ)は洗わないか?ですが、使用していなさそうでも洗うように指示しているはずです。あとは清掃員とチェック担当の個々の問題が大きいです。

④の手袋したくないはとても分かるなー。ゴム手袋すると細かい作業がやりづらいんです。付け外しも面倒です。でも、これは自分の衛生面にも関わりますから、菌やウイルスから守るためにもしなくてはなりません。



清掃で物が無くなった。盗まれた。
連泊中の清掃で盗難されたという話を稀に聞きますが、けっこう宿泊者の勘違いであることも多いです。ただ手癖の悪い者はどの世界でも一定数います。必ずバレるのになぜやるのか?は理解不能です。
掃除する側としては、疑われるのが嫌なので荷物にはあまり触れたくないですね。トラブルの元です。掃除し易いよう一カ所にまとめていただけると助かります。そしてゴミはきちんとゴミ箱へ。


ツインのシングルユースでもう一つのベッドやタオルを使ってよいのか?
一人でツインルームに泊まった場合、ベッドやタオルを二つとも使っても良いのか?ということですが、使われることを前提で考えていますから構いません。
逆に使った形跡のないベッドのシーツ類やタオルは新しいものに替えるかですが、ホテルによって違うと思います。ただ、しないホテルも慎重なチェックはするはずです。はっきりしない場合、よく分からない場合は替えるほうへ判断するでしょう。
意地悪な宿泊者にタオルの中にトラップを仕掛けられることも考えられるので、有名で高級なホテルほど必ず替えるという方針になると思います。


どんな手順?
その階ごとに全室を開け、窓開けと換気、ごみ回収、リネン回収、掃除機というように部屋全部を全体の流れとして動きます。一部屋が終わったら次の一部屋へとは行いません。このほうが効率が良く、一部屋づつやるよりも時間がかからずに済むからです。そしてこれを信じられないスピードで行っていきます。
例えると新幹線の車両清掃に似ているかもしれません。わずかな停車時間に、徹底的に効率化された作業手順とチームワークで完了させる清掃作業が注目されることがあります。海外から視察に訪れるほどという記事や特集番組をご覧になった人も多いのではないでしょうか?
朝早くから清掃員がドタバタと、声もうるさい。なんでチェックアウト時間前から始めるのか?というご指摘はごもっともだと思います。けれども、人員体制や清掃部屋数の関係で間に合わせるには仕方ないこともあります。掃除は修羅場なのです。
いくら速く仕上げるコツや時間短縮を念頭に実践していても、いくら清掃の流れを意識していても、今日の清掃数はやばいぞ!という日があったりします。

そこでホテル側が困るのがチェックアウト時間を大幅に遅れる方です。その部屋だけ後回しとなると単独で清掃を行わなければならず、かなりの時間のロスになることがあります。
また、例えばある部屋が吐しゃ物まみれなど極端に汚されている場合など、予想外に時間を取られることがあります。
禁煙室での喫煙によるタバコ臭、欧米人に多い独特な強い体臭や香水で、長時間の換気が必要な部屋が出てくることもあります。
気にする人には凄く気になるようで、ホテルはニオイに関してのクレームはとても多く、中には消臭剤のニオイがして嫌という方もいます。
理想は全くの無臭ですが、このニオイは意外にしつこく消臭剤だけではなかなかとれません。ですからチェックイン時間ギリギリまで換気を行う必要が出てくる部屋もたまにあるのです。



どうしてもダメならオゾン発生器を使用します。トイレ便座にオゾン脱臭機能が付いているものがありますが、それと原理は同じでけっこう臭いがとれます。ただしオゾンの発生量が多くて持ち運びも容易な物である必要があります。ホテルは短時間で済むよう脱臭消臭機器専門の販売店の強力なのを使います。車、ペット関係の仕事でもよく使用されます。もちろん自家用としても使えるのではないでしょうか?。
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でももしかしたら・・・って心配になってしまうのが人間です。せめて口に入れるものは自衛したいという人に。コンパクトになる折りたたみケトル(ポット)をトラベルセットに組み込んでしまいましょう。電圧切替式なので海外でも使用できます。
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ホテル側も努力しているみたいだけど、私は臭いで不快にさせられることが多い、臭いに対してけっこう神経質、という方は自衛用でコンパクトな物があります。最大の特徴は充電式でコンセントの無いところでも使えるところです。
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連泊時の清掃についてはこちらのページで詳しく説明しています。
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