変動料金と同一・均一料金の意味は?得か損か?

ホテルというのは日によって宿泊料金が変わる日別変動料金体系というのが一般的です。しかし近年はこれに対し、料金を変えない固定料金体系のところが増えてきています。均一料金、同一料金、統一料金など言い方は異なりますが、つまりはなるべくその時その時で、コロコロ変わらない値段にしようじゃないかという流れです。
今回はこの二つの料金体系について、それぞれ説明してみたいと思います。

【変動料金】
このホテルや旅館の料金が日によって、曜日によって、季節・時期によって、違う・変動することは皆さんご存知でしょうし、だいたい世間一般では当たり前のこととして受け入れられているかと思います。
まあ、あれでしょ?例の需要と供給というやつで決まってるわけでしょ?と理由についてもおおよそ納得されているかと思います。
毎日、部屋の予約状況で値段が変化します。満室になりそうなら上げるし、閑古鳥が鳴きそうな日は逆に安くすることもあります。

しかし本当によく考えてみるとなぜなのでしょうか?例えばあなたがレストランで食事をするとき、ショップで買い物をするとき、盆や正月だからといって値段が変わるでしょうか?
まあホテルというのはそういうものなのだろうと皆さんなんとなく納得はしているものの、自分は少し疑問ですと考えるお客様がいてもさほどおかしくないのではと私は思います。

料金が変化する理由
ホテルによって価格が高くなる日というのはそれぞれ異なると思いますが、大体は土曜日と休前日それに加えて金曜日が含まれるところもあります。それからお盆やお正月。ゴールデンウィーク、シルバーウィーク。8月などのレジャーシーズン。それから年度がわりで人の異動が多くなる3月も比較的そうかもしれません。

これはつまり、ホテルが満室になるだろうと予想出来る日です。お察しのように部屋の供給より需要が上回る日になっています。多少普段より部屋価格が高くてもぜひ宿泊したいというお客様が多い為に成り立ちます。

なんだか宿泊者の足許につけ込んでズルイよなあ…ぼったくりなんじゃ…と思われますか?
実はこれ、ホテル側からするとこう考えていただきたいのです。
値段の高い日が高いのではなくて、それ以外の平日が安いのだと。

方便だな…と言われると思います。しかしホテルは意外に儲かりません。自社ビルであれ賃貸であれその支払い、清掃員・フロントスタッフ等の人件費、シーツ類のリネン代、その他消耗品、食事が出るホテルは食材費、そして水道・光熱費。この水道・光熱費というのがもの凄く掛かります。
その為、人件費であるホテルマンの給料というのはとても安いです。ホテル業はサービス業の中でも最も収入が低い部類に入っていることをご存知でしょうか?
ですから、けして高い日でボロ儲けしているわけではなく、年間を通してやっと何とか利益になるくらいなのです。

例えば首都圏の立地が良いビジネスホテルは平日でも満室になったり稼働率が90パーセント台になると思いますが、たいていの所はそこまで行くことはないでしょう。そこで何もない平日に何とか来て欲しいと考えるわけです。少しでも利益が上がるなら、酷いとほとんど利益ないけど次に繋がってくれたらなんて思い切った料金設定で出すこともあります。
格安の平日限定プランや、このサービスは平日に宿泊のお客様限定のサービスになっておりますなんて書いてあるのは、こういった理由からです。

もう一つの理由はホテルが販売しているのが部屋だということでしょうか。
当たり前と言えばそうなのですが、部屋数はそのホテル(旅館・民宿)で決まった数しかありません。満室になったらそれ以上は販売することが出来ないからです。

例えば小売りの店舗だったら、在庫さえあれば倉庫から補充してさらに販売することが出来ます。
飲食店も満席状態になっても、工夫や努力次第でお客様を回転させることが出来ます。
しかしながらホテルは、その日に満室になったらそれ以上はどうやってもお客様を採ることが出来ません。稼働100パーセントになったらそれ以上は無理なのです。
キャンセルがあるだろうと想定して100パーセント以上予約を取るなんて危険なことは出来ません。オーバーブッキングの恐怖はスタッフには身に染みて分かっています。

だから満室で他のお客様を大勢お断りしていた日の直前のキャンセルは、スタッフとしてはちょっとがっかりします。(幸いすぐキャンセル分に予約を入れることが出来たりする場合もありますし、キャンセル料というのもありますが)

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【固定料金】
固定料金制度にも種類がある
*365日同一料金
言葉どおり一年中、年間をとおして値段が変わらない方式です。平日でも土曜・休前日でも、正月でもお盆でも、宿泊者が集中する日しない日に関係なく同じ料金です。ただし、全国チェーンのところは施設内容・サービス内容に違いがありますし、その地域での稼働率や相場が異なる為、店舗によって違いを持たせている場合があります。つまり、そのチェーン・グループは全国どこでも料金が一緒ということではなくて、店舗ごとでは異なるが、365日同じ料金であるということです。
この方式には「四季倶楽部」などがあります。

*2・3パターンの異なる料金による統一体系
どういうことかというと、平日と土曜(休前日・シーズン)、つまり「普段」と「混み合う日」の2種類の料金体系で分けて統一する方式です。「繁忙日」と「閑散日」のあまりにもある格差には少し差を残そうというものです。そして、やはり全国チェーンなどは稼働率や地域相場を考慮して、店舗ごとに少し格差を許容した統一料金です。
この代表格には「東横イン」などがあります。
東横インは一年中同一の店舗もあれば、2パターンの店舗もあります。しかも2パターンの土曜料金のほうは平日から千円程度高いまでで、その差を少なく抑える傾向にあり、やや柔軟に対応しているようです。

3パターンのところもあります。
この代表格には「伊東園ホテルズ」などがあります。平日・土曜日/特定日・トップシーズンの3パターンです。
「ファミリーロッジ旅籠屋」も3パターンです。ここは全国チェーンですが、地域性を入れず、レギュラー・シーズン・ハイシーズンの全国統一料金になっています。ただし、いつがシーズン・ハイシーズンかは地域・場所によって若干の違いがあります。


メリットは?
まずはお客様の安心感でしょう。高いのか・安いのか?、得してるのか・損してるのか?、そんなあらゆる不安を解消しようというのが今の流れだと思います。特に近年は、訪日客の増加によるホテルの稼働率の上昇で、料金が極端に跳ね上がるという事例もありました。
ぼったくられてるんじゃないか?ホテルのやり方が汚いんじゃないか?景気低迷で会社の出張費は抑えられて安いところを探さなくちゃいけないし…など、少々皆がホテル探しにイライラしている感があります。そんな状況の中で、分かり易くいつも料金が一緒というのは、宿泊者側にとっては大きな安心になるのではないでしょうか。

ところで皆さん。もともとホテルが変動料金体系であることをどう思っていますか?
それはまぁ、あたり前だよな。と思う人もいる一方で、これ自体おかしいよな?と考える人もいるのではないでしょうか。
円相場を考えてみて下さい。その日その日で円の相場は変動します。市場原理によって同じ通貨の価値が変わるのです。これって当たり前ですよね?輸入品が高くなった時の買い物で、円相場が変動するなんておかしい!と言って怒っている人はいないですよね?円安を嘆くことはあるかもしれませんが、商品の値段が左右されることを悪とは思いませんでしょ?それと同じで、ホテル、旅館などの部屋の価値もその時その時で変化するのです。その差額を企業側で吸収してお客様にはなるべく負担をかけるな!それにしても変化の度合いが大きすぎる!そういう意見なら分かります。
しかし、人の感情とは不思議なもので、変動料金自体に疑問を持ってしまうものです。「人より得をしたい心理」「人より損をしたくない心理」というのは案外に強いものなのかもしれません。

そうした感情の傾向があるのであれば、ホテル側には統一することに大きなメリットがあります。つまり料金を上げるところは悪。同じところは正義。ということになりますから、まずイメージがよくなります。新規客の増加が見込めますし、リピーター率も高くなるかもしれません。
それから、スタッフの負担も軽減されます。特に予約サイトに表示される料金入力はかなり楽になるでしょう。

デメリットは?
宿泊者側にとって考えると、掘り出し物がなくなることがあります。つまり閑散期・平日などで、ホテルによってはかなりお得な値段に下げて安売りすることもあり得るのですが、それが出来なくなってしまうことです。一部には掘り出し物を見つけ、お得に泊まったことを満足感として得ている宿泊者もいます。
そして、出張などで宿泊費が経費で賄える人にとっては、そこが気に入ったとしてもすぐに満室になって宿泊できないということもあるかもしれません。少しばかり高くなっても部屋が空いていて自分が泊まり易いほうがよいのだけれどな…ということです。

ホテル側のデメリットは、下限の料金も統一されてしまうわけなので、もし値段の基準にされて、他ホテルにそれより安い金額で出されると逆に客を盗られてしまう可能性はあります。
また、同一料金にするときの金額設定の難しさもさることながら、日々の細かい利益追求が出来ないことでしょうか。例えば、この日は放っておいてもこの地域のホテルは全て満室になるだろうという日もあったりするのですが、200室のホテルで満室だったとしましょう。計算が面倒なので全てシングル料金のみで考えます。
一部屋6,000円の場合
6,000円×200室=120万円

他ホテルが通常6,000円の相場を12,000円まで引き上げた場合
12,000円×200室=240万円

その差は120万円。単純にそうとは言えませんが、一日で120万円損したとも言えます。
ただしそれは、均一・同一料金制にしたことによる、年間での客数増でカバーできるかもしれません。


まとめ
昔、まだ同一料金のホテルが珍しかった頃は、メディアに取り上げられたりして話題性という宣伝効果がありました。ただし、現在はかなり増えている為、そうした大きな宣伝効果は見込めないように思います。
けれども結局、いつも値段を気にしてホテル探しをしたり、そのホテルのその日の値段が普段より得なのかそうでないのか、とか疲れるんです。もっとシンプルに、余計なストレスを感じたくないという気持ちは皆さんお持ちなのではないでしょうか?
それと、企業に対する不信感。企業は儲ける為なら平気でうそを吐く、サービス内容をわざと分かりにくくする、嫌なら来るな、誰も責任を取ろうとしない。お客様を誠実にお迎えするという当たり前のことが蔑ろになってきている。私個人としてはそんな時代の流れを感じます。
そんな流れの中で、宿泊者の「安心」に着眼して、途中で同一料金体系に変えてみる、新規で同一料金で始めて見る。そうした試みはいちおう評価されるべきと思います。
皆さんはどう思われますか?
どちらが消費者に受け入れられるかは自然と答えが出てくるはずです。同一料金ホテルが普通になってくるか?自然と消滅して変動料金に戻る流れになるか?私は動向をけっこう興味深くみています。

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