部屋割りはどのように決まるのか?
ホテルや旅館の部屋割りはいったいどうやって決めているのか?常連の人はなおさら、またこの部屋だ…今日はここか…ふと疑問に思ったことはないでしょうか。
「アサイン」とも言われる、この予約者に部屋番号を割り振って泊まる部屋を決定していく作業ですが、全く適当に考えて行っているわけではありません。
要望欄の考慮。
インターネットで予約サイトから予約を入れる場合でも、最後に要望や質問を書き込めるようになっている場合があります。例えばこんな要望があったとします。
・〇〇で行われるコンサートの終了後に向かいます。最終チェックインの〇時ギリギリくらいに到着になると思いますがよろしくお願いします。(仲間同士の4室予約)
・釣りの前泊で利用します。チェックアウトは早朝4時頃になると思います。
・東に窓がある部屋を希望です。(おそらく宗教上の理由)
・足が悪いので、出来ればエレベーター近くの部屋をお願いします。
・いつもの〇号室希望。(常連)
これらの希望があったとして、ホテルがどのように考え部屋を割り当てていくか具体的に書いてみましょう。
コンサート4室は仲間同士か…しかも一番遅いチェックインになりそうだ。興奮冷めやらぬままワイワイガヤガヤ話しながら部屋まで廊下を歩くだろう。廊下の奥(角部屋・端の部屋)にすると早めの就寝をしている人に迷惑になりそうだ…エレベーターのすぐ傍に配置しよう。
そうすると足が悪い人はエレベーターを出て右、コンサート組は左にしよう。
釣り前泊の人は早めに就寝・安眠したいだろうから、廊下の音があまり気にならない奥の方がいいかも。
東窓の人は朝早く合掌しながら大きな声で唱える場合が考えられるな…釣りの人は早朝にアウトしてしまうから隣にすれば左右どっちかの部屋だけは助かるな。この日は満室になりそうだし隣を空室のまま残せないかもな…。
そういえば、〇号室はイギリス人が連泊してるんだっけ…この日同じイギリス人のチェックインがあるから、廊下で会うと情報交換とか交流し易いかも…隣同士だとあからさまだから斜め向かいくらいにしておくか。
常連の〇〇さんは希望どおり〇号室に出来そうだ。でも部屋が特別きれいだとかないし、作りも一緒だし、なぜ〇号室なんだろう…番号のゲン担ぎとかだろうか?今度それとなく聞いてみよう。
と、こんな感じです。けっこう皆さん意外に思ったのではないでしょうか?案外あれこれ思いながら行っています。
ただ、どこのホテルもこんな感じに考えて部屋割りをしているとは断言できません。特に予約サイトの要望欄を開放しておくと、中にはとんでもなくワガママな内容もあり、うんざりしているホテルもあるでしょう。「出来れば」「可能なら」と前置きされているにもかかわらず、お客によってはかなり強い希望であったりすることもあります。
その為、予約サイトの要望欄を「受け付けない」と設定しているホテルもあります。
部屋番号が決まるタイミングは?
予約が入ったらすぐに部屋割りをします。とりあえずでもどこかの部屋に割り振りをしてしまいます。
その後は状況次第で一旦決めた位置をかなり動かして変更していくこともあります。
最終的に何日前までに部屋番号が決定するといったタイミングがあるわけではありません。宿泊者がチェックインするまでは動かして変更する可能性があります。
部屋割り表の存在。
もしかしたら、よほど小さなホテル・旅館は部屋割り表を手書きで作っている所もあるかもしれません。けれども、予約ソフトに組み込まれているかオリジナルで作っているかは別として、だいたいは表をパソコンで作成していると思います。エクセルの表みたいなものを想像していただければよいです。左と上どちらかが部屋番号と日付になり、セルのひとコマがその部屋番号の一泊となります。何ヶ月先まで視覚的に分かり易くしないと、とてもコントロール出来ません。
例えば全員が一泊なら部屋割り作業はそう難しくはないと思います。しかし宿というのは必ず連泊者がおり、その泊数もバラバラです。
表を視覚的に見ると、イン・アウトが同じ日でない限り、セルの長い棒が重ならなかったり隙間が空いたりするわけです。
これが満室近くになってくると、表はさながらパズルのようになってきます。ですから、表の作成にはけっこうな経験やコツがホテルスタッフにも必要になってきます。
だから一番苦労するのは、何らかの原因でチェックイン時・後に部屋の移動が発生した場合です。満室や満室近くの場合、移動先の部屋もまた移動、その後の日程も巻き込んでまた移動に次ぐ移動と大変な事になってしまうことがあります。
なぜ自分がその部屋に決められたかは考え過ぎない方が良い。
前述のように宿泊者にはいろいろなことを考慮しながら部屋を決めているものの、全てのお客様に配慮できるはずもなく、満室近くであればなおさら無理な場合もあります。
人は常に理由を求めたがるものですが、そもそも理由などない場合もありますのであまり神経質になる必要はありません。
よく宿泊客が心配される内容に次のようなものがあります。
・〇〇サイトから予約したから、ポイントを大量に使用したから、こんな部屋、位置、階にされたんじゃないだろうか?
・希望・要望したのに叶えてもらえなかったということは、自分はホテルに好かれていないのではないか?
どこから予約が経由されたかというのは関係なく、お客様は同じお客様です。少なくとも私や私の勤めていたホテルではそういったことは関係ありませんでした。ポイントも現金と同様の価値があるものですし、きちんとポイント分も収益としてホテルに入るのでそういった心配は不要です。
繰り返しになりますが、要望はあくまでも要望です。絶対に叶えられるものではありませんから、ホテルに望まれていない客だなんて悲観しないで下さい。
最後に補足で…、逆に希望もしていないのにチェックイン時に
「グレードアップさせていただきました」
なんて予約したプラン料金より高い部屋にしてもらえた経験はありませんか?
「おお、俺はホテルにとって歓迎な良客なのか?」
と思ってしまいがちですが、これ、高い部屋が売れ残って安い部屋に予約が集中したとか、安いプランでオーバーブッキングしてしまったので振り替えたとかの可能性があります。
残念ながらホテルがよく使う言い回しなんですよ(笑)。
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要望欄の考慮。
インターネットで予約サイトから予約を入れる場合でも、最後に要望や質問を書き込めるようになっている場合があります。例えばこんな要望があったとします。
・〇〇で行われるコンサートの終了後に向かいます。最終チェックインの〇時ギリギリくらいに到着になると思いますがよろしくお願いします。(仲間同士の4室予約)
・釣りの前泊で利用します。チェックアウトは早朝4時頃になると思います。
・東に窓がある部屋を希望です。(おそらく宗教上の理由)
・足が悪いので、出来ればエレベーター近くの部屋をお願いします。
・いつもの〇号室希望。(常連)
これらの希望があったとして、ホテルがどのように考え部屋を割り当てていくか具体的に書いてみましょう。
コンサート4室は仲間同士か…しかも一番遅いチェックインになりそうだ。興奮冷めやらぬままワイワイガヤガヤ話しながら部屋まで廊下を歩くだろう。廊下の奥(角部屋・端の部屋)にすると早めの就寝をしている人に迷惑になりそうだ…エレベーターのすぐ傍に配置しよう。
そうすると足が悪い人はエレベーターを出て右、コンサート組は左にしよう。
釣り前泊の人は早めに就寝・安眠したいだろうから、廊下の音があまり気にならない奥の方がいいかも。
東窓の人は朝早く合掌しながら大きな声で唱える場合が考えられるな…釣りの人は早朝にアウトしてしまうから隣にすれば左右どっちかの部屋だけは助かるな。この日は満室になりそうだし隣を空室のまま残せないかもな…。
そういえば、〇号室はイギリス人が連泊してるんだっけ…この日同じイギリス人のチェックインがあるから、廊下で会うと情報交換とか交流し易いかも…隣同士だとあからさまだから斜め向かいくらいにしておくか。
常連の〇〇さんは希望どおり〇号室に出来そうだ。でも部屋が特別きれいだとかないし、作りも一緒だし、なぜ〇号室なんだろう…番号のゲン担ぎとかだろうか?今度それとなく聞いてみよう。
と、こんな感じです。けっこう皆さん意外に思ったのではないでしょうか?案外あれこれ思いながら行っています。
ただ、どこのホテルもこんな感じに考えて部屋割りをしているとは断言できません。特に予約サイトの要望欄を開放しておくと、中にはとんでもなくワガママな内容もあり、うんざりしているホテルもあるでしょう。「出来れば」「可能なら」と前置きされているにもかかわらず、お客によってはかなり強い希望であったりすることもあります。
その為、予約サイトの要望欄を「受け付けない」と設定しているホテルもあります。
部屋番号が決まるタイミングは?
予約が入ったらすぐに部屋割りをします。とりあえずでもどこかの部屋に割り振りをしてしまいます。
その後は状況次第で一旦決めた位置をかなり動かして変更していくこともあります。
最終的に何日前までに部屋番号が決定するといったタイミングがあるわけではありません。宿泊者がチェックインするまでは動かして変更する可能性があります。
部屋割り表の存在。
もしかしたら、よほど小さなホテル・旅館は部屋割り表を手書きで作っている所もあるかもしれません。けれども、予約ソフトに組み込まれているかオリジナルで作っているかは別として、だいたいは表をパソコンで作成していると思います。エクセルの表みたいなものを想像していただければよいです。左と上どちらかが部屋番号と日付になり、セルのひとコマがその部屋番号の一泊となります。何ヶ月先まで視覚的に分かり易くしないと、とてもコントロール出来ません。
例えば全員が一泊なら部屋割り作業はそう難しくはないと思います。しかし宿というのは必ず連泊者がおり、その泊数もバラバラです。
表を視覚的に見ると、イン・アウトが同じ日でない限り、セルの長い棒が重ならなかったり隙間が空いたりするわけです。
これが満室近くになってくると、表はさながらパズルのようになってきます。ですから、表の作成にはけっこうな経験やコツがホテルスタッフにも必要になってきます。
だから一番苦労するのは、何らかの原因でチェックイン時・後に部屋の移動が発生した場合です。満室や満室近くの場合、移動先の部屋もまた移動、その後の日程も巻き込んでまた移動に次ぐ移動と大変な事になってしまうことがあります。
なぜ自分がその部屋に決められたかは考え過ぎない方が良い。
前述のように宿泊者にはいろいろなことを考慮しながら部屋を決めているものの、全てのお客様に配慮できるはずもなく、満室近くであればなおさら無理な場合もあります。
人は常に理由を求めたがるものですが、そもそも理由などない場合もありますのであまり神経質になる必要はありません。
よく宿泊客が心配される内容に次のようなものがあります。
・〇〇サイトから予約したから、ポイントを大量に使用したから、こんな部屋、位置、階にされたんじゃないだろうか?
・希望・要望したのに叶えてもらえなかったということは、自分はホテルに好かれていないのではないか?
どこから予約が経由されたかというのは関係なく、お客様は同じお客様です。少なくとも私や私の勤めていたホテルではそういったことは関係ありませんでした。ポイントも現金と同様の価値があるものですし、きちんとポイント分も収益としてホテルに入るのでそういった心配は不要です。
繰り返しになりますが、要望はあくまでも要望です。絶対に叶えられるものではありませんから、ホテルに望まれていない客だなんて悲観しないで下さい。
最後に補足で…、逆に希望もしていないのにチェックイン時に
「グレードアップさせていただきました」
なんて予約したプラン料金より高い部屋にしてもらえた経験はありませんか?
「おお、俺はホテルにとって歓迎な良客なのか?」
と思ってしまいがちですが、これ、高い部屋が売れ残って安い部屋に予約が集中したとか、安いプランでオーバーブッキングしてしまったので振り替えたとかの可能性があります。
残念ながらホテルがよく使う言い回しなんですよ(笑)。
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