宿泊者名簿を書かなければいけないのはなぜ?

ホテルや旅館では、チェックイン時にだいたいどこでも宿泊名簿の記入(記名)をお願いされると思います。

宿帳・宿泊台帳・宿泊カード・レジカードとも言われるこの名簿ですが、けっこう名前を書くだけでも面倒くさいですし、個人情報の管理が大丈夫か心配だったり、すでに予約サイトで情報を記入しているのだからまた書くことはないのでは?と常々この宿泊名簿に疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?


実はホテルというのは旅館業法という法律に基づいて運営されておりまして、この中に宿泊名簿の記載が義務付けられています。

第6条 営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があったときは、これを提出しなければならない。宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。(昭和23年7月12日公布、同年7月15日施行)

これに改正で外国人に国籍とパスポートナンバーの記入も加えられました。
「旅館業法施行規則の一部を改正する省令」(平成17年厚生労働省令第7号)、平成17年4月1日施行。


そもそもの理由は、集団食中毒や伝染病などが発生した場合に、感染ルートをさかのぼって特定できるようにするという目的からです。
外国人においては、近年日本国内においてもテロ発生に対する脅威が高まってきている為、不特定多数の者が利用するホテル・旅館等においてはその利用者の安全確保が重要になっているという背景があるようです。

また名簿は「旅館業における衛生等管理要領」により3年間の保管・保存が義務付けられています。

しかしこの旅館業法、実は施行が昭和23年です。現在はネット予約が一般的で、その時に顧客情報も入力している場合がほとんどです。ホテル側はその情報を受け取っているはずなのにまた書かすのはどうなのか…という意見はよく分かります。けっこう面倒くさいですし、今の時代に合っていないかもしれないとは、正直なところ私も思います。

ホテルによっては厳格に記入を求めないところもあるようです。(しかしこれは法律違反にはなります)
私の居たホテルでは短期間中での再来者と常連のお客様に対しては名簿の記入を省略していました。以前に書いたことがあるわけで、データが残っているのが分かっているからです。
個人情報の取り扱いについても十分に注意していて、名簿は必ず鍵の掛かる場所に保管していました。

この個人情報については必要以上に神経質にならなくて良いと思います。おそらくほとんどのホテルはきちんと取り扱っていると思います。どうしても宿泊に関することでお客様に連絡を取りたい時、とても重要そうな忘れ物で知らせてあげたほうが良いだろうという時に利用することがありますが、基本は利用しません。
まして信用が第一のサービス業であるホテルが名簿業者に横流しするということはないでしょう。リスクとリターンが全く釣り合わないからです。

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宿泊者が宿泊者名簿の記入を拒否したら?

ホテル側が請求したにもかかわらず、宿泊しようとする者が宿泊者名簿の記入を拒否する場合は、このことが旅館業法に違反しますので、宿泊を拒否される可能性が非常に高いと思います。


宿泊者名簿に嘘の記入をしたら?

短期間(1日以上30日未満)の拘留、または少額の金銭(千円以上1万円未満)の科料の軽犯罪になる可能性があります。けして重い罪ではありませんし、宿泊者名簿の嘘で罰せられたということはほとんどないそうですが、もし仮にこれらの刑で処罰された場合は市町村の犯罪人名簿には掲載されないものの、検察庁の犯歴記録には前科として一生残ることになります。

宿泊者名簿は伝染病等の感染ルートが特定できるようにという目的があります。
例えば、とても感染力の強いウィルスによる伝染病患者がホテルに泊まっていたことが判明したとしましょう。そしてあなたもたまたま同時にそのホテルに宿泊していたとします。
関係機関は必死に接触者を捜しさらなる感染を食い止めようとします。しかし、あなたは宿泊名簿に偽名と嘘の連絡先を記入していました。そんなことを知る由もないあなたが病院に運び込まれた時には既に意識不明の重体、その間にも多くの接触者が感染。感染者はネズミ算式に増えていき、さらには変異して最強ウィルスが出来上がり人類は滅亡…。
そう、あなたが嘘の記入をしたことで人類が滅亡してしまう可能性があるのです。

まあ、これはちょっと大袈裟かもしれませんが可能性が全くないわけではありません。
だからこそ、宿泊者が不安なく記入できるようホテルは個人情報やプライバシーに関しては厳格に扱って欲しいと思います。


というわけで、ホテル側から宿泊名簿の記入を求められたら、不満はいろいろあれど素直に記入しておくのが良さそうです。

抗議のつもりか個人情報の心配からか、なぐり書きをしてわざと読めないように書く人がいます。また名前を書くときに一瞬躊躇しているように見受けられる人がいます。
ホテルマンは意外とお客様のことを観察しているものです。自分が担当したその日のチェックインのお客様の顔、名前、部屋番号くらいは覚えてしまうスタッフも多いと思います。(規模が大きく部屋数が多いところはさすがに無理でしょうけれど)
例えお客様が悪いことをするつもりは全くなかったとしても、フロントスタッフの頭の片隅にはちょっと気になったこととしてインデックスされる可能性はありますので、それが嫌な方は読めるように書いて、スタッフをあまりいじめないようにしていただきたいと思います。



宿泊名簿はチェックイン時に記入しますが、そのチェックイン時間についてのお話です。
チェックイン時間と清掃。遅れる・変更連絡


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