宿泊客のプライバシーと警察・探偵の聞き込み

ホテルにはいろいろな事情を持ったお客様が宿泊します。その中には自分がそのホテルに宿泊していること、宿泊したことは絶対に秘密にしたい人がいます。
よくある例で挙げると、借金取りから逃げ回っている人、夫や彼氏のDVから逃れてきた女性、お忍び旅行、家出、浮気などです。
ホテルというのは基本、訳ありであろうとなかろうと全てのお客様のプライバシーを守ります。それはホテルの守秘義務であり、信用があってこそお客様は宿泊してくれるのです。

事情があるお客様達は、自分からフロントに理由を話してきたりはしませんから、実際そうであるかは分からないですが、何となくそうじゃないかなという雰囲気で察せられることが多いです。
まれに慎重な人で「誰かが訪ねたり問い合わせをしてきても、絶対に私が宿泊していることを教えないで欲しい」とお願いされる場合もあります。
そのようなお客様、そうであろうお客様については、ホテル側は少し気に留めておく程度で特に嫌がったり迷惑がったりすることもありません。もともとホテルは誰であれ、お客様のプライバシーについては普段から慎重に扱っているからです。

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その為、ホテルは外部からの問い合わせに対してお客様の情報を教えることはしません。
誰々の部屋番号を教えろ!という要求にも答えません。
宿泊者の事についての問い合わせには慎重に対処します。

例えばあなたが知人の誰かと連絡が取れなくて、「そういえば〇〇ホテルに宿泊しているって言ってたな」と思い出して、呼び出して欲しいとそのホテルに電話を掛けます。「〇〇さんという方がそちらに宿泊しているはずなんですが、取り次いでいただけないでしょうか?」とお願いしても断られると思います。良くて「その方がもし宿泊されていましたら伝言だけはさせていただきます」という感じでしょうか。宿泊者からホテルへ前もって「知人の〇〇から連絡があったらこう伝えておいていただけますか」とお願いされていた場合は別です。

たとえ、困ってるんだろうな、別に悪意はないのだろうなと分かっていても、ホテルは残念ながら教えることは出来ません。
ホテルによって違いはあると思うのですが、緊急事態なので教えて欲しいという問い合わせには、私も悩んだりすることがありました。例えばどんな内容かと言いますと「家出しているのだが自殺する可能性が非常に高い」というような場合です。
その緊急事態という人は、周辺の宿泊施設にいる可能性があるということで片っ端から電話していたようなのですが、小さな所も含めると宿泊施設は何百件もあります。気持ちは分かりますが現実的に考えて効率的ではないです。このような場合は警察に相談してみることをおすすめします。

実際宿泊していなければ「宿泊していません」と言ってしまえば良いのでは?と皆さんは思われるかもしれませんが、アリバイを崩すための電話の可能性もあります。つまり電話主はその人が宿泊していないことを確かめたいわけです。不倫する時の言い訳で「今日は仕事で〇〇ホテルに泊まるんだよ」とかです。だからその日は宿泊していませんとも安易に答えられないわけです。
家族や知り合いがホテルに泊まっているか?または泊まったか?こうした宿泊事実の確認電話というのはけっこうあるのですが、ホテルとしては基本お答えしません。ただ、非常に巧妙な話術で聞き出されてしまうということはあります。例えばこんな感じです。
「○月○日に宿泊した○○という者ですが、私は妻で主人に頼まれたんですが、部屋に忘れ物をしたらしいんです。保管されてないかちょっと調べていただけませんか?」
「○月○日に○○というお名前では宿泊が無いようなんですが、別のお名前で予約された、若しくは宿泊したホテル名をお間違えということはありませんでしょうか?」
どうですか?これだと答えたホテルを責めるわけにはいきませんでしょ?多少頭を使えば方法はあるのです。

浮気に利用しようとしたホテルをキャンセルして、キャンセル料請求が郵便で来たためにばれることがあります。
また、今は少なくなっていると思いますが、高級旅館などは、お礼状や年賀状を出す場合がありますので、それでばれることがあります。
愛人と泊まる場合はご注意を。

個人情報の問題からホテルは自宅電話へは極力電話はしません。しかし仕事上どうしてもホテルがお客様と連絡を取る必要がある場合などは稀にかけることはありました。また、キャンセル料請求先が自宅電話番号しか登録がない場合は掛けざるを得ません。
そして、最近は少なくなってきましたが、宿泊の前日や何日か前に、念のための予約確認電話を掛けるホテルや旅館も存在するようです。予約ミスがないかの最終確認や無連絡キャンセル防止の意味があるのでしょう。もっぱら今ではその役割はメールに取って代わっています。
携帯電話は個人の所有物ですので連絡先として登録された番号へ掛けることは許されると私は思っています。携帯番号の登録がされていたなら、部屋の忘れ物の連絡くらいはして差し上げるべきではないでしょうか?ただここはホテルによって大きく意見が分かれるところでしょう。

それと同じくプライバシーの問題から、ホテル側は連泊の清掃以外は許可なくお客様の部屋へ入るということはしません。悲鳴やうめき声が聞こえるとか焦げ臭いとか、もちろん緊急時は別です。

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いくらプライバシーの問題があるといっても犯罪者は別です。
ホテル・旅館等の宿泊施設は、都道府県知事の開示要求があった場合は宿泊名簿の情報を提供する義務がありますし、警察の聞き込みに協力して情報提供することはあります。

ホテルという場所柄、警察の聞き込みはやっぱり多いです。けっこう頻繁にあります。
宿泊施設などに警察が立ち寄り、被疑者が宿泊しているかどうか調べることを「旅舎検(りょしゃけん)」と言いますが、実際ホテルから逮捕されていった人もいます。ただ警察が探している人が今まさに宿泊しているということは少なかったです。ほとんどが宿泊していないか、していたとしてもだいぶ前だったという場合がほとんどです。

容疑は万引きから殺人までいろいろです。しかし警察の情報網というのは凄いですね。この辺りに潜伏しているというのが分かっているし、偽名を使っているとしたらとしていくつかの名前を挙げて行ったりします。

ただし協力はけっこう大変で面倒です。犯人の供述とアリバイを一致させる為に、いつからいつまで泊まって、何時ごろインして、何時ごろアウトしたか。時には監視カメラの映像記録を見る場合もあります。
時には証拠写真の立ち合いや報告書を提出したりすることもあります。
正直に言うと、とても面倒です。だからといって知らんふりは出来ません。市民として協力するのは当然だと思っていますし、逆に何かあった場合はこちらが助けていただく場合もあるわけですから。
ちなみに、旅舎は旅館、検は調べるという意味なので旅舎検です。「りょしゃけん」という読み方は分かっても、現実にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。


警察よりも多いのが探偵です。家出人、失踪者などの人捜しをしているわけですが、尋ねられている人物がまさに今宿泊している…なんていう事は無かったです。
探偵にもいろいろあって、「家出人」といって捜している人が本当に家出人であるとは限りません。借金で逃げているとか、金を持ち逃げして組から追われているとか、ヤバイことをして追われている可能性もあるわけです。
だから探偵の場合は警察より慎重に考えなければいけません。プライバシーと個人情報保護の問題もあります。たいてい家出人の場合は警察には捜索願が出されており、情報はこちらへと警察署の番号も併記されていますから、こういうチラシは信用して良いのだと思います。
実際には「探偵はホテルにいる」の冴羽凛や「ホテル探偵DOLL」みたいなのはいません。日本ではホテルに雇われた探偵なんてものは存在しません。


そういうわけで、お客様から見えないカウンターの内側にはこうした尋ね人の写真がたくさん貼ってあったりします。不思議なことに写真を眺めていると何となくどこかで見たことがあるような気がしてきてしまうんですよね。しかし、ほとんどは気のせいです。似ている人というのも世の中には大勢いるでしょう。
尋ね人の報奨金は10万円くらいあったりします。だから張り切って捜すなんていうことはありませんでしたが、残念ながら偶然うちのホテルへ泊まりに来たということは一度もなかったです。


フロントが困るのは、大きなマスクにサングラスをした人がチェックインに来られた時です。ホテルとしては宿泊者の顔は把握しておきたいのですが、なかなか外して欲しいとは言えないものです。病気やケガで隠したい人もいることでしょう。
けれども花粉症の時期なら珍しくありませんが、それ以外の季節だと逆に印象に残るのは間違えありません。(新型コロナの流行で、顔で覚えることは困難になってしまいました)



家出した少年・少女がとりあえずビジネスホテルに泊まろうとやって来られても対応に困るんですよね。なぜ?というページです。
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