キャンセル料を払わないと?

ホテルや旅館のキャンセル料を払わないとどうなるのか?これについては皆さんとても興味を持っていると思います。
当然のシステムだ。いや、払いたくないなー、払わない方法はないの?何が何でも無視して踏み倒したい。
いろいろな考えの方がいらっしゃるでしょう。
そもそもキャンセル料・取消料とはどんな根拠・理由から存在するのか?今回はホテルキャンセル料について、宿側と客側の両方の視点から考えてみましょう。


キャンセル料とは何?
あなたがホテルや旅館などに予約をして、何らかの事情で行くことが出来なくなった為に宿泊を取り止めた場合、キャンセル料金が発生して請求が行われます。
割合は?
規定はホテルによって異なり、例えば宿泊日の当日の連絡であれば宿泊料金の80パーセント、連絡が無かった場合は100パーセント、前日は20パーセントの様に宿泊施設ごとに定められています。相場というか、宿泊代からどのくらいの割合かは統一されているわけではありません。一律の料率ではないということです。
いつから?何日前から?
一週間前から、3日前から、当日のみ、早いと1ヶ月前からという所もあって、いつまでならキャンセル料なしで取り消しできるかはホテルによって異なります。中には稀にキャンセル不可プランなんていうのもありますし、逆に当日キャンセルであっても一銭も取らない宿もあります。

そして団体であった場合には別の規定を設けている所もあります。なぜなら団体の場合はホテル側の損害が大きくなってしまう可能性が高いからです。

請求方法はメール、電話、ハガキ、書面による郵送などホテルによって異なるでしょう。支払方法も振込、現金書留、フロントでの直接払いなどの提案があると思います。支払い期限をきちんと付けてくる宿もあるでしょう。

「じゃらん」や「楽天トラベル」などのいわゆる予約サイトは、サイト自身のキャンセル料規定はないのが普通です。旅館業法にもキャンセル料の掛かる日にちや割合が定められているということもありません。
「じゃらんキャンセル料はいくらです」「楽天キャンセル料はいくらです」とサイトごとに決まっているわけではないということです。つまり宿の規定(キャンセルポリシー・規約・約款)に従って下さいというスタンスです。(航空券と宿泊がセットになったプランなどは、サイトでキャンセルポリシーを定めている場合があります)

支払う義務があるのか?というと、キャンセル料金を取ってはいけないという法律はありません。
実損相当額(平均的損害額)という概念に基づいて、何ヶ月も前からキャンセル料が掛かるといった非合理性がなければ、世間一般には認知されているものと考えられます。

あなたが予約をした宿泊はホテル側にとって見込める売上です。ホテルは通常の物品販売とは異なり在庫を増やすことが出来ません。在庫にあたる部屋数には限りがありいつも決まっているからです。満室になればそれ以上は販売が出来ず売上を増やせないという不利な性格を持っています。
その為あなたの部屋を必ず確保しますので、もしそちらのご都合で辞退された場合はお支払いになって下さい。という約束事がキャンセル料になります。
予約と言うのは単純に早い者勝ちです。予約が成立すればホテル側はあなたの為に確実に部屋を確保します。たとえ後から常連様の予約が入ったとしても、料金を多く支払うので特別に計らって欲しいと依頼されたとしても、あなたの部屋は守られます。
つまり「料金を高く払ってくれるお客様がいましたので申し訳ないんですがあなたの予約を無かったことにさせていただきます」などとホテルが言ってくることはないわけです。
ですからあなたは安心して泊まることが出来ます。その代り、万が一宿泊を取り止める場合はキャンセル料をお願いします…という仕組みなのです。
もしこの制度が存在しなかったら、ホテル側は何の保証もない為に自然にリスクを回避する方針をとらざるを得なくなるでしょう。例えば、あなたが少しチェクイン予定時間を遅れてしまっただけで別の人に部屋を回されて宿泊を断られたりする可能性が出てきます。ずるいということではなく、何の保証もない以上、これは自然な選択的行動になります。
結局はこの仕組みは、ホテル側とお客様側の両方が安心出来るものなのです。

ホテルはお客様がキャンセルすること自体を怒ったりはしません。お客様にも止むを得ない事情が当然あるでしょうから。
問題は支払いたくないという方です。前述の内容から必要性を良く理解してもらえればこのような考えも起こりにくいと思いますが、何しろぼったくられているような気持ちが強いのだと思います。


ホテルに実質の損害がなければ免除してくれても良いのでは?
つまり満室の日の当日にドタキャンしたとして、その後キャンセル待ちの方など別のお客様が宿泊出来たのなら免除してくれても良いのでは?という考え方ですね。はい、この意見はとても良く分かります。
ただこれはホテルが満室に出来なかったと嘘をついても分からない事柄です。普通このような証明が出来ない事柄は残念ながらルール化することが現実的に困難です。一律にその後の補てん宿泊の有無にかかわらずいただく、としておくしかないです。
しかし結果的に請求が来なかった、されなかったという人は、ホテルが実際これを考慮してくれた為に、ない可能性が高いと思われます。

そして、自分がキャンセルする時点でそのホテルには空室がたくさんあった。私が予約したことで他の人が予約できずにホテルが損をしたということはないはず。だから払う必要はないのでは?という理屈もあるでしょう。ただこれを言い出してしまうと予約制度というもの自体に意味がなくなってしまいます。当日に宿泊希望者が殺到しても確実に宿泊ができるメリットが予約なわけですから。

その代わりと言っては何ですが、実はホテル側にリスクがあってもお客様に請求出来ない事柄もあるのです。それはどういうことかと言うと、先程予約は早い者勝ちで必ず部屋が保証されると述べました。
例えば空室数10の日にあなたが予約を一部屋とりました。残りは9部屋です。その後他のお客様から問い合わせがあり、団体で10部屋を予約したいと言ってきたとします。9部屋なら宿泊できることを伝えるも、仲間同士で全員が同じホテルでなければ意味がないとして予約には至らなかった…。
こんなことも発生する可能性があるわけです。もちろんあなたの予約を勝手に断って団体をとるということは出来ません。そのほうが儲かるとしてもです。

こんなふうに現在のキャンセル料制度は成り立っているのだということを漠然とでも分かっていただけたらと思います。
あなたが予約した時点から予約管理・部屋割り等の手間がホテルには少なからず発生しています。
旅館などの食事付きのプランであれば実質の損害はありますし、あなたを含めた人数によって人員を増やして待機しているかもしれません。


どちらも相手を思い遣る気持ちが重要ではあるが性善説では成り立たなくなってきた
ホテル側はキャンセル客に対して十分な思い遣りの気持ちを持つことも大切ではないでしょうか。お客様にも事情があるのですからただ「払って下さい!」では、たとえそのつもりであっても不満が残るものです。
本当はとっても泊まりたかったのに事情で行くことが出来なかった、急病やケガでそれどころではなくなってしまった。想像もしない状況にあるのかもしれません。
一部悪質な客がいるのは事実だとしても、みんながみんなそんなことはないわけで優しいお客様も大勢います。次の機会に気持ち良く宿泊していただきたいものです。

お客様側はホテルに正直に事情を伝えましょう。キャンセル料というのは事情にかかわらず支払わなくてはいけないものなのですが、ホテル側も理由くらいは聞きたいと思っていますし、場合によっては考慮して取らないこともあると思いますから誠実に相談してみて下さい。けっこう連絡なくいらっしゃらないと心配していたりするものです。

昔は宿泊キャンセルに対して、宿泊者もそうそう悪質な人は少なかったし、ホテル側もそうはいっても請求しない、そんな感じでなんとなくのバランスが保たれていました。でも何ででしょう?近年は平気で何の連絡もなく、請求も堂々と逃げ回る人が増えたような気もします。
おそらく携帯電話と着信拒否機能の普及、インターネットによる宿の人と関わらない予約。そんなことも手伝って、お互いの触れ合い・信頼感みたいなものが薄れてきている感じです。
「前回、事情で泊まれなかったんだけど、キャンセル料もいいって言ってくれたので、今回は泊まりに来ましたよ」
そんな律儀なお客様が大勢いたものです。宿側もそんなに神経質でなく穏やかでいられたものでした。
これは宿泊業だけでなく、飲食店の状況も同じように話題になってきているようですね。さすがに何か対策をするべきという意見が多くなっています。
これも時代なんでしょうか…なんだか殺伐としてきているような…。



台風や大雪や強風などの悪天候・自然災害、新型コロナやインフルエンザやノロウイルスなどの病気の場合は?
まず、パッケージツアーで申し込んだ旅行プランの場合(飛行機と宿がパックになった旅行プラン等)、欠航での宿のキャンセル料は基本掛かりません。
それ以外の個人旅行のキャンセル料というのは基本的には、事情にかかわらず掛かるものと認識して下さい。
けれども、そうはいっても予約者の心情を考えると考慮せざるを得ない事情もあり、現実的にはケースバイケースで対応しようというのが一般的な宿の方針であると思われます。
ただ、事情を考慮してキャンセル料を取らないというのは、あくまでも宿側の厚意であることを忘れないで欲しいと思います。
お客様にとっては、「台風は自分のせいじゃない」という意識が強いでしょう。だから当然キャンセル料無しは認められるべき…と。ではこれが宿のせいかと言えばそれも違うのです。
台風の影響で飛行機・フェリー・新幹線を含めた電車、欠航や運休で行きたくても行けないんだ!と、心情は理解出来ます。しかしホテルは満室で、後からの他の予約を断ってあなたの予約部屋を守ってきたかもしれません。
このような場合、どちらが悪いということはありませんよね。どちらかが泣くか、どっちも泣くしかありません。

「インフルエンザに罹ってしまったので」というキャンセル理由は多かったです。今は新型コロナでしょうか?
もちろん本当の場合もあるでしょうが、経験上ウソの理由としても多いことを私は知っています。
これを仕方ないとして全て免除するか?
理由が本当かどうかなんて分からないのだから関係なくもらうか?
これはもう宿の判断・方針なのです。

嘘の理由を並べられることを防ぐことは出来ません。それは、その人の考え方・生き方です。
同じく宿の方針も、その宿の考え方・経営の仕方です。

「それは災難でしたね。キャンセル料はけっこうです」
「キャンセル料は免除したいと思いますが、診断書の提出・欠航したフライト便を教えていただけますか?」
「申し訳ありませんが、理由の如何にかかわらずいただきます」
どの対応もあり得るということです。


一般的なインターネット予約の場合、キャンセル料の請求も回収も基本はホテルが行う
つまり予約したサイトが例えば「楽天トラベル」だったとしましょう。サイト経由の予約がキャンセルされたわけですが、それでも請求と回収は「楽天トラベル」が行うのではなくて、あくまでホテルが行うことになります。
ただ全ての予約形式でなく一部例外がありますし、クレジットカード引き落としで連絡無しの無宿泊分の料金も徴収する方式のサイトもあったり、いろいろですので承知しておいて下さい。

今まではキャンセル料徴収はホテル側の問題でした。はっきり言うと、予約サイトは知らんふりだったわけです。ただ、現地決済よりクレジットカードによるオンライン事前決済による予約を積極的に促し、キャンセル料が発生した場合はカード引き落としにて代行徴収するといった動きも出てきています。
料金回収の問題は業界全体の課題でもありました。つまり、基本は宿側と宿泊者の間で行なわれていたキャンセル料金について、予約サイトが介入、徴収に協力する流れが今後は加速していくと思われます。


請求があって払わなかった場合はどうなる?
まず、キャンセル料を免除してもらえるかもしれない重要な理由があったのなら、宿泊施設側にその旨を相談してみましょう。
それ以外で払わないと決めたということは、まずそのホテルには二度と宿泊する機会は無いと考えてのことだと思いますが、支店や系列店を持つホテルではそのグループ全体でも泊まれない可能性があることも忘れないで下さい。
予約時に提供されたデータは次回予約があった場合に照合され、キャンセル料未払いの情報が確認出来るところがほとんどだと思います。さらにグループ内で共有出来るシステムを使用していれば、不払いが全店で分かる可能性があるということです。
ブラックリストというような大袈裟なものではありません。現在一般的に使用されているホテル業務管理システムの情報・検索機能で把握出来ます。

では次回は偽名や嘘の連絡先で登録しますか?それともキャンセル料を無視し、いつでも逃れられるよう常に嘘の個人情報で通しますか?
そうすると旅館業法違反で罰せられる可能性があります。そもそもバレたらそれ自体が宿泊拒否の理由に相当します。

請求に対して逃げる人をどこまで追いかけるかはホテルによって違うと思いますが、経験上請求は手間がかかりますし、精神的にも面白い仕事ではありませんから、実際にはあまり深くは追いかけない所が多いのではないでしょうか?
しかし内容によっては、金額によっては訴訟までおこす場合もあるかもしれません。
皆さんどうでしょうか?ホテル側に何も非が無いとして、それでも払わないという選択をしますか?



キャンセルの仕方・方法
もちろん直接ホテルに連絡を入れても良いのですが、予約サイトを経由している場合は自身でそこから処理を行って欲しいというのが施設側の本音でしょう。
例えばあなたが「楽天トラベル」から予約を入れたのなら「楽天トラベル」でキャンセルして欲しいのです。
すでに当日のキャンセルできない時間帯であったり、ハプニングによるものなのでそれどころではないという場合は止むを得ないと思いますが、ホテル側がお客様に代わって予約サイトの処理を行う場合は、不備によってキャンセルをした・しないの新たなトラブルが発生しないとも限りません。

それからクレジットカードによる事前の決済を行っているプランなどはホテル側で代理処理が出来ない場合もあります。本人自身のキャンセルしか認めないプランです。例えば航空券と宿泊代がセットになったようなプランに多いと思います。(飛行機の欠航・振替時のキャンセル返金に関わってくる為と思われます)
予約の規約はけっこう複雑ですので、説明をよく読み注意して行いましょう。

自身による予約サイトからのキャンセルはホテルとコミュニケーション出来ず機械的な処理になってしまいますので、キャンセル料が発生する期間にキャンセルした場合は、直接ホテルに伝えておくのが良いでしょう。
請求書を送ると言われて最終的にキャンセル料の請求がこないのは、今回は大目にみてもらえたと考えてよいと思います。
ただし、登録した住所や電話番号が違っていないかは思い起こして下さいね。そうでないと請求書が届かない、電話が繋がらないということで、未払い者としてリスト入りしていたなんてことも有り得るかもしれません。


キャンセル手続きで気をつけること
予約サイトですでに予約済みだけれども、一旦キャンセルして予約を取り直そうと考えたとします。例えば、予約者名や日数や人数を変えたいなどの場合です。
しかし、宿は満室。
自分がキャンセルした分が予約サイトの空室に戻るはずだから、そこですかさず予約し直そう。そんなふうに考える人もいることでしょう。
しかし、これは危険です。「楽天トラベル」「じゃらん」などのOTAと呼ばれる予約サイトのシステムは、宿側が「戻り在庫を反映させない」といった設定も出来るからです。宿がすでにオーバーブッキングしていたり、キャンセル待ち客がいる場合、サイトに在庫を戻さずその分を他へ回すこともあるのです。
キャンセル料が掛かる前にキャンセルしてまた予約を繰り返すことは、ホテル側としてはあまりいい気分ではありませんが、システム上のルールとしては問題ありません。
もし泊数変更などをする場合は、一旦キャンセルで予約し直すのではなく、予約サイト上で「変更処理」「予約変更」といった手続きをします。


キャンセル料は税込みか?税抜きか?
・解約に伴う事務手数料は課税の対象となります。
・逸失利益に対する損害賠償金としてのキャンセル料は課税の対象となりません。
・全額について事務手数料に相当する部分と損害賠償金に相当する部分を区分することなく一括して受領しているキャンセル料は非課税です。
その為、一般的には予約時の特約等が無い限りはホテルの宿泊キャンセル料は税抜き価格を支払います。しかし、小さい宿はこのへんの理解が出来ていないことが多いです。
私は問い合わせたり、説明するのも面倒なので、税込で払ってしまいますが…。
振り込みをする場合の振込料は宿泊者負担が通例です。



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